2000年7月に日本でオープンした当時も、アマゾンは出版界の「黒船」としてマークされ、その秘密主義がよく批判の対象になるようだが、日本では得意のディスカウント術が封じられているアマゾンは、顧客を取り込むビジネスシステムこそを強みとしているのだ。「こんな風に商売してます」などと、おめおめと手の内をさらけ出すような真似ができるわけがない。アメリカ国内でのアマゾンのサービスやビジネスモデルをつぶさに観察していると、日本での活動はまだ「様子見」の状態だと察せられる。時折サービスへのクレームが聞かれたり、倉庫での過酷な労働条件などが取り上げられているのを見かけたが、外国の企業だからと重箱の隅をつつくようにあら探しをしているだけだったりする。しかし、アマゾン側も、きちんとQCに目を光らせていなかったりと、本国のサービスや対応には及ばない、ワンランク下のクオリティーで商売をしているように思えてならない。それは著者と読者にとっては確実に朗報だが、その間に立つ出版社、取次、書店については、しかるべき準備をしておいた方がいいとしかいえない。アマゾンが提供しうる「本をどこよりも安く、いつでもオーダーできて、手抜かりなく家に届き、返品も着払いでオーケー」というビジネスが実現できるとなれば、これを阻止できるところはないだろう。本国でのアグレッシブなディスカウントも、それを顧客が求めるサービスだという自信があるから、利益を犠牲にしても値段を下げているのだし、そのせいでアメリカ国内で出版社側と対立することになってもいる。アマゾンの目的は、本を読みたいという人のために、従来の紙の本を含むあらゆるフォーマットで、あらゆるプラットフォームで、読書体験というサービスを届けることだ。