戦後、中国に行ったデザイナー

2010-12-21

戦後、中国に行ったデザイナーは、世界中で私が初めてだった。訪中は一九七八年のこと。まず北京に飛び、官僚の人たちにお会いした後、生産地である上海に着き、「熱烈歓迎」を受けた。みんなとても好意的だった。早速、シルク公司を訪ねた。ファッション雑誌はもちろん、外国の情報や資料など何もない。上海はかつて繁栄していた国際都市だから、高度な技術は残っていた。“設計師”と呼ばれる人たちが静かに机に向かって、刺しゅうのためのデザイン画を描いていた。金魚や竜、虎などの絵ばかり。これでは、ちょっとね……と思った。刺しゅうの作業現場では、若い女性たちがこれも静かに針を運んでいた。技術は細かくてなかなか素晴らしいのだが、洗練されていなくて重たい。みんな素朴で真剣に仕事に取り組んでいる姿勢に感心したし、ここの人たちは私を必要としていると強く感じた。“設計師”たちを集めて講演をしてほしいと、シルク公司から頼まれた。私は自分がどんなふうにアメリカで仕事をしたかという話をした。一人ひとりがすごく熱心に耳を傾けてくれた。