次に、人間の行為として、考えてみましょう。ものを売るときに、まず人は、どこかでその品物を仕入れてきます。そして、それを買いたい人に、利益を乗せて売ろうとします。この発想は、誰でも思いつくことです。しかし、初めに商品がなければ、それに利潤を乗せて売る、ということは思いつかないでしょう。今、手元にない品物を人に売りつけて、それから、その品物を仕入れにいく1そういった行動パターンは、一般的ではありません。そこには、リスクがあるからです。その品物が手に入らないかもしれません。おまけに、その品物を売りつけた値段よりも安く仕入れられなければ、自分が損をしてしまいます。そんなリスクは誰も取りたくないですから、仕入れてきてから、その仕入れ値に利益を上乗せして売ろうとするのです。ですから、普通は、“物を買ってから売る”という行動になります。人間の発想に素直に従っていて、無理がありません。はっきり言えば、“買うということ”は、難しい行為ではありません。それは、人間本来の行動に根差しているからです。品物を仕入れてみたものの、何らかの理由で、それが仕入れ値よりも高く売ることができない場合、人は、仕入れ値よりも高く売れるまで待とうとします。損をしてまで売ろうとは思いません。短い時間でも、時の経過とともに価値(価格)の下がってしまう品物の場合は、泣く泣く多少の損をしてでも売ろうとするのでしょうが、時間に左右されない商品の場合は、あわてて売らずに、価値(価格)が仕入れ値よりも高くなるまで待つ、あるいは、高く買ってくれる人を探そうとします。“売り”から入るという行為は、この逆で、発想の転換が必要です。“売り”から入る行為は、。ない物ガを売ることです。そのうえ、「(品物がなくて)買えないかもしれない」「売値よりも安く仕入れることができないかもしれない」といったリスクがありますから、人は躊躇します。ですから、人は、まず「仕入れる(買う)」という行動を取ろうとするのです。