『あすか会』は、国立駅から歩いて三分ほどの場所にある。地図を見ながら探しあてた塾は、一階が商店になっている小さなビルの二階に受付があった。二階にあがる階段がわからず、うろうろしたあげくやっと見つけてのぼっていくと、薄暗い部屋に看板が出ていた。部屋の四方の壁一面に、墨で名前が大書され、赤い花のつけられた紙が貼られていた。「○山×子さん白百合学園」「△田口男くん慶應義塾幼稚舎」などといった一流校合格者の名前は、とりわけ目立つように受付のすぐ上に掲げてあったという。厳しい受験戦争を勝ち抜いた子どもたち(とその親)の、受験にかけた熱意と合格した誇らしさがその一枚一枚の紙にこめられているような気がしてプッレーシャーを感じたIさんは、すでに受付の手前で、少し気持ちがなえてしまった。この雰囲気は、まるで選挙のときの政党事務局のようではないか。だが、こんなことでくじけてはダメだ、と自分を奮い立たせて体験入学の申し込みをした。一万円に消費税が五百円ついた。「結構とるんだな」が感想だった。
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