ビームスプラスは、現在、アメリカの老舗メーカーと組む場合も、パターンはビームスから持ち込むケースがほとんどという。アームホールが小さく、身頃もレギュラーラインに比べれば細身のそれらは、日本人の体型を前提に設計されたパターンで、今の着こなし、スタイリングとも違和感なく、組み合わせることができ、渋谷や原宿の街の風景にすんなり溶けこむ柔軟性を備えている。洋服は、時代とともに変わる生き物だ。だが、筆者も含め、現ビームス社長やH氏の世代には、70年代にかつてのアメリカ文化や洋服に激しい衝撃を受けた分、それに対する思い入れも強く、なかなかその呪縛から抜けられないという面がある。実際、それでいい、その方が好きだ、という人間も40代以上になれば、市場にも少なくない。若い世代にも古着好きはたくさんいる。ただし、世の中とは皮肉なもので、モノの本質を見抜く眼力、豊富な知識・経験が、必ずしも「今」の市場にベストマッチできる力に寄与してくれるとは限らない。とくに相手にする市場が大きくなればなるほど、不特定多数の顧客から支持されなければ、商売は成り立たなくなる。