結婚式の忌み言葉

2011-08-04

結婚式の忌み言葉としては、ごく言い慣わされているものに「切る」「離れる」「戻る」「割る」などがある。結婚によってつながった縁が切離することをイメージさせる言葉は、ハレの場で使うことをさけようとする。つまり凶兆の一つとして縁起が悪いということだから、その心意はごく自然であろう。しかしこれが高じて、たとえば結婚式に割り箸を用いないというのは、箸を「割る」という行為によるものであり、披露宴に肉料理を出さないというタブーが料理屋にあるのも、身を「切る」ことにつながっていることになる。一方では、花嫁がいよいよ家を出るときに、わざわざ盃や皿を割る呪いをするのは、これまでの実家における人生の空間をいったん切断して、新しい空間に突入することを象徴していることになる。ここでは割ることを不吉ととらえず、さらに繁栄するという新たな出発を予告する呪いなのである。本来、陰陽道の思想は、陰と陽のバランスをとることに重点があった。ところがやたらに死や不吉の感覚をあおる方向に仕向けるとマイナス要素が目立ってしまう。陰と陽の秩序を保つ生活意識が知恵として工夫されねばならないのである。